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蠅
横光利一(1923年)
小説
約7分
2,760字
あらすじ — 馬車の転落と蠅の視線が重なるとき、命の重みが逆転する
炎天下の街道を走る乗合馬車。乗客それぞれの人生が交差する中、一匹の蠅だけが運命の結末を見届ける。横光利一が新感覚派の手法で描いた、たった数ページの中に凝縮された生と死の瞬間。
この作品のひとふみ
蠅は最も高い馬の耳の上に止まって、眼の下に落ちてゆく世界をじっと見おろしていた。
横光利一
馬車の中には、誰一人自分の不幸を知っているものはなかった。
横光利一
御者は赤い西日の中に手綱を引き緊めると、鞭の先で遙か眼の下の町を指した。
横光利一
蠅は、ぶんと唸ると、青空の中へ消えていった。
横光利一
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