私はこの時始めて、 云いようのない疲労と倦怠とを そうして又不可解な、下等な、 退屈な人生を僅かに忘れる事が出来たのである。
芥川龍之介蜜柑
背景解説
物語のラスト一文。冒頭で「退屈で仕方ない」って言ってた「私」が、少女の行為で少しだけ救われる。「僅かに忘れる」であって「完全に変わった」じゃないのが芥川らしい。でもその「僅か」こそが、人生を生きていける力になる。大きな救いじゃなくて、小さな光。それで十分。
人生を変えるのに、大事件はいらない。
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