不可解な、下等な、退屈な人生の象徴でなくて何であろう。
芥川龍之介蜜柑」(1919)
青春を失った者は酔い泣きといっしょに過去の追憶が多くなって取り乱すことになるだろうから
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(27 篝火)」(1914)
俺はお前を本当の美しい女にするために、刺青の中へ俺の魂を打ち込んだのだ。
谷崎潤一郎刺青」(1910)
おれは食欲があるが、あんなものはいやだ。
フランツ・カフカ変身」(0)
道を歩いて常に見る若い美しい女、出来るならば新しい恋を為たいと痛切に思った。
田山花袋蒲団」(1907)
流転の相はこの通りだ。昼となく夜となく流れてやまない。
下村湖人現代訳論語」(1949)
何になっても、人間らしい、正直な暮らしをするつもりです。
芥川龍之介杜子春」(1920)
私は癖として都の話を聞くのが病でございます
泉鏡花高野聖」(1900)
ああ、このような経験を、私はこれまで、何百回、何千回、くりかえしたことか。
太宰治」(1947)
私は生きなかったということを発見することがないように欲したからである
ソロー森の生活」(1854)
麻酔薬はうわ言を言うと申すから、それが怖くてなりません。
泉鏡花外科室」(1895)
こうして私が数時間前から座っているのに、どうもまだこの部屋は空虚のようだ。
堀辰雄風立ちぬ」(1938)
恋しい藤壺の宮によく似ているからだと気がついた瞬間にも、思慕の涙が熱く頬を伝わった。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(05 若紫)」(1914)
生きよ堕ちよ、その正当な手順の外に、真に人間を救い得る便利な近道があり得るだろうか。
坂口安吾堕落論」(1947)
三軍も帥を奪うべし、匹夫も志を奪うべからず。
下村湖人現代訳論語」(1949)