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私という男は、何という気違いでありましょう。それ程の苦しみを忍んでも、不思議な感触の世界を見捨てる気になれなかったのでございます。
江戸川乱歩「人間椅子」
背景解説
椅子の中に隠れ続けることで、身体はボロボロになってるのに、そこで感じる奇妙な快楽がやめられないという究極の葛藤を描いてます。苦しみと快楽が交錯する中で、自分がヤバい状態にあることを自覚しながらも逃げられない—これは依存とか執着の本質をえぐってる場面。
でも、この主人公がなぜそこまで椅子にこだわるのか、その秘密の正体は想像を超えていて...
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『人間椅子』の他のひとふみ
美しい閨秀作家としての彼女は、此の頃では、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
江戸川乱歩
私は、そうして、一つ一つ椅子を仕上げる度毎に、いい知れぬ味気なさに襲われるのでございます。
江戸川乱歩
こんな、うじ虫の様な生活を、続けて行く位なら、いっそのこと、死んで了った方が増しだ
江戸川乱歩
ただ一つ、私の作った椅子丈けが、今の夢の名残(なご)りの様に、そこに、ポツネンと残って居ります。でも、その椅子は、やがて、いずことも知れぬ、私達のとは全く別な世界へ、運び去られて了うのではありませんか。
江戸川乱歩
それは、夢の様に荒唐無稽(こうとうむけい)で、非常に不気味な事柄でした。でも、その不気味さが、いいしれぬ魅力となって、私をそそのかすのでございます。
江戸川乱歩
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