もどる
母の考えでは、夫が侍であるから、弓矢の神の八幡へ、こうやって是非ない願をかけたら、よもや聴かれぬ道理はなかろうと一図に思いつめている。
夏目漱石「夢十夜」
背景解説
昔の母親たちって、本当に信じる力が強かったんだよね。この母さんも、夫が侍だから神様も絶対に願いを聞いてくれるはず!って一心不乱に祈ってるんです。その純粋な信念が、逆に読者には切ないんだ——だって、その祈りがうまくいかないことを知ってるから。
でも、この母親の必死の願いって、本当に叶わないのか、それとも想像もしない形で現れるのか——漱石は読者の心を揺さぶる真実へと導いていく。
あらすじを見てみる →
本文を読む →
『夢十夜』の他のひとふみ
堪(た)えがたいほど切ないものを胸に盛(い)れて忍んでいた。
夏目漱石
背中に小さい小僧がくっついていて、その小僧が自分の過去、現在、未来をことごとく照して、寸分の事実も洩(も)らさない鏡のように光っている。
夏目漱石
その頃でも恋はあった。自分は死ぬ前に一目思う女に逢いたいと云った。
夏目漱石
あの通りの眉や鼻が木の中に埋っているのを、鑿と槌の力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない
夏目漱石
こんな船にいるよりいっそ身を投げて死んでしまおうかと思った。
夏目漱石
← ホームに戻る