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草枕
夏目漱石(1906年)
約267分
106,933字
あらすじ — 人の世は住みにくい。だから詩が生まれる。
山道を登る青年が、人生の苦労と向き合いながら、温泉の里で那美という女性と出会う。智慧も情も意地も使えば苦しい世界で、どう生きるか。漱石が問いかける青春と芸術の本質を、自然描写と人間関係の中から感じる、ちょっと哲学的で、でもリアルな物語です。
この作品のひとふみ
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
夏目漱石
喜びの深きとき憂いよいよ深く、楽みの大いなるほど苦しみも大きい。
夏目漱石
雲雀の鳴くのは口で鳴くのではない、魂全体が鳴くのだ。
夏目漱石
うつくしき、極みの歌に、悲しさの、極みの想、籠もるとぞ知れ
夏目漱石
苦しんだり、怒ったり、騒いだり、泣いたりは人の世につきものだ。余も三十年の間それを仕通して、飽々した。
夏目漱石
どこまでも世間を出る事が出来ぬのが彼らの特色である。
夏目漱石
有体(ありてい)なる己(おの)れを忘れ尽(つく)して純客観に眼をつくる時、始めてわれは画中の人物として、自然の景物と美しき調和を保(たも)つ。
夏目漱石
非人情がちと強過ぎたようだ。
夏目漱石
ここらが非人情で面白い。
夏目漱石
その表情はぴしゃりと心のカメラへ焼き付いてしまった。
夏目漱石
聞きたいな。ちっとも聞えないとなお聞きたい
夏目漱石
糞(ふん)はどこぞに着いておらぬかと眺(なが)めて見たが、それは箱のなかに取り残されていた
夏目漱石
路寂寞(じゃくまく)と古今(ここん)の春を貫(つらぬ)いて、花を厭(いと)えば足を着くるに地なき小村(こむら)に、婆さんは幾年(いくねん)の昔からじゃらん、じゃらんを数え尽くして、今日(こんにち)の白頭(はくとう)に至ったのだろう。
夏目漱石
鏡に対(むか)うときのみ、わが頭の白きを喞(かこ)つものは幸の部に属する人である。
夏目漱石
ただあなたとわたしのように、こういっしょにいるところなんで、その場限りで面白味があるでしょう
夏目漱石
惚れて夫婦になる必要があるうちは、小説を初からしまいまで読む必要があるんです
夏目漱石
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