非人情がちと強過ぎたようだ。
夏目漱石草枕」(1906)
自嘲、切なさ、悟り高い理想を掲げたはずなのに、現実の前に挫折するとき
大衆は静かな絶望の生活をおくっている。いわゆるあきらめと確かめられた絶望である。
ソロー森の生活」(1854)
覚醒毎日同じ日常を繰り返して疲れたとき
トロッコは線路を降りるように走り出した。 良平は眼を輝かせて、 両側の風景を見やった。
芥川龍之介トロッコ」(1922)
希望夢が叶った瞬間
蛭(ひる)が降るのです。木の枝から、雨のように蛭が降って来る。
泉鏡花高野聖」(1900)
恐怖逃げ場のない恐怖に直面したとき
人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない。
坂口安吾堕落論」(1947)
悲しみと希望の混在自分の弱さや失敗を受け入れられず、完璧でありたいと願うとき
女の顔にはいつも何一つ表情というものがなく、それは怖ろしいほど美しく、恐ろしい顔でした。
坂口安吾桜の森の満開の下」(1947)
恐怖、魅了美しいものに恐怖を感じるとき
おれは何事によらず長く心配しようと思っても心配が出来ない男だ。
夏目漱石坊っちゃん」(1906)
達観、諦念学校での失敗を気にしない自分の性質を自覚したとき
鐵は、用ひない時に、※る。溜り水は、濁つて、寒天には、氷結する。懈怠が心の活力を奪ふ事も亦、これに比しい。
レオナルド・ダ・ヴインチレオナルド・ダ・ヴインチの手記」(1914)
行動への鼓舞怠けてしまっている自分に喝を入れたいとき
私は妻には何にも知らせたくないのです。妻が己れの過去に対してもつ記憶を、なるべく純白に保存しておいてやりたいのが私の唯一の希望なのですから
夏目漱石こころ」(1914)
切なさ愛する者を傷つけたくないと思ったとき、また自分の秘密を抱えて孤独を感じるとき
言葉や様子こそあまり上品じゃないが、心はこいつらよりも遥かに上品なつもりだ。
夏目漱石坊っちゃん」(1906)
自尊心、矛盾への自覚自分の非礼を認めつつも、生徒たちの卑怯さに怒りを感じるとき
それは赤い頬をした三人の男の子が、 目白押しに並んで立っていた。
芥川龍之介蜜柑」(1919)
切なさ大切な人との別れの場面に立ち会ったとき
およそ人心の働き、これを進めて進まざるものあることなし。その趣は人身の手足を役(えき)してその筋を強くするに異ならず。
福沢諭吉学問のすすめ」(1872)
希望才能や性質は変えられないと諦めているとき
始めは小さき鶏かと思いしが溝(みぞ)の草に隠れて見えざればすなわち野鳥なることを知れり。
柳田国男遠野物語」(1910)
驚き, 発見予想と現実のズレに気付いたとき、未知のものに出会ったとき
その夜おれと山嵐はこの不浄(ふじょう)な地を離(はな)れた。船が岸を去れば去るほどいい心持ちがした。
夏目漱石坊っちゃん」(1906)
解放感堕落した環境から脱け出し、自分らしく生きたいとき
それに、こんなことをしたら、まるで家具を片づけることによって、わたしたちがあの子のよくなることをまったくあきらめてしまい、あの子のことをかまわずにほったらかしにしているということを見せつけるようなものじゃないかい?
フランツ・カフカ変身」(0)
切なさ、悲しみ、愛情家族がグレゴールの部屋の家具を片づけようとするとき
さあさあおなかにおはいりください。
宮沢賢治山越え」(1921)
恐怖逃げ場がないことを悟ったとき
心さえ自由にする修業をしたら、落雲館の生徒がいくら騒いでも平気なものではないか
夏目漱石吾輩は猫である」(1905)
希望人生の不平や悩みに直面したとき
自分はかつて此の境に佇立して、 落日の光の穏やかに林を照すのを見て、 かの詩人の詩にはじめて思い当ることがあった。
国木田独歩武蔵野」(1898)
気づき本の中の言葉が現実と重なった瞬間
帽子屋さんはなるほどと思いました。狐の手に合う手袋を出してやりました。
新美南吉手袋を買いに」(1943)
優しさ、安堵予想外の優しさに出会ったとき
ほんとうのさいわいは 一体何だろう
宮沢賢治銀河鉄道の夜」(1934)
問い幸せって何だろうと考えるとき