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手袋を買いに
新美南吉(1943年)
約9分
3,543字
あらすじ — 子ぎつねの小さな冒険が、世界の見方を変える
冷たい雪の朝、母さんぎつねは子ぎつねの手を温めてあげたくて、手袋を買いに行かせることに。片手だけ人間の手に変えてもらった子ぎつねは、初めての人間の町へ向かう。帽子屋のドアの隙間から差し出したのは、間違えてきつねの手の方だった――。新美南吉が贈る、温かさと信頼の物語。
この作品のひとふみ
子狐の手は、牡丹(ぼたん)の花のようにまっかでした。雪をすくったので、ぼたんの花のようにまっかになったのです。
新美南吉
母さん狐はため息をつきました。「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら。」
新美南吉
お母さん、お手々がちんちんする。お手々がちんちんする。
新美南吉
お母さんは、坊やの片方の手をとって、それを人間の子どもの手にかえました。
新美南吉
「このお手々にちょうどいい手袋下さい。」と云いました。帽子屋さんはおやと思いました。だってそれは人間の手でなくて狐の手だったからです。
新美南吉
帽子屋さんはなるほどと思いました。狐の手に合う手袋を出してやりました。
新美南吉
母さんの言ったことは嘘だな。人間はちっとも恐かないや。
新美南吉
人間の窓の中では人間の子供が、お母さんに歌ってもらいながら、ねんねしようとしているのでした。
新美南吉
「坊や、お手々がつめたかろう。おっかさんおててをつつんであげましょうね。」
新美南吉
「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら。」
新美南吉
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