母ちゃん、目に何か刺さった。抜いて、早く早く
新美南吉手袋を買いに」(1943)
お前はもう帰れ。俺たちは今日は向こう泊まりだから。
芥川龍之介トロッコ」(1922)
僕はかわいい顔はしていたかも知れないが体も心も弱い子でした。
有島武郎一房の葡萄」(1920)
文明の事を行う者は私人の人民であり、その文明を護る者は政府だ
福沢諭吉学問のすすめ」(1872)
梅も桜も桃も一時に咲いている、美しい岡の上をあちこちと立って歩いて、こんな愉快な事はないと、人に話しあった夢を見た。
正岡子規病床六尺」(1902)
老夫妻にはそれが自分たちの新しい夢と善意とを裏書きするもののように思われた。
フランツ・カフカ変身」(0)
雲雀はしきりに啼きながら高く高く雲間へ這入りいつまでたっても降りて来ない
谷崎潤一郎春琴抄」(1933)
奥さん、あなたはどうして、この事件に、そんな深い興味をお持ちなんですか
江戸川乱歩黒蜥蜴」(1934)
はんの木は本当に砕けた鉄の鏡のように輝き
宮沢賢治やまなし」(1923)
不可解な、下等な、退屈な人生の象徴でなくて何であろう。
芥川龍之介蜜柑」(1919)
すべてのことは昔より悪くなっていく末世でも、仮名の字だけは近頃の方がよくなった。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(32 梅が枝)」(1914)
歌はどうして作る。じつと観み、じつと愛し、じつと抱きしめて作る。
与謝野晶子晶子詩篇全集」(1929)
「私は本当に、このおかしくなったような、男の度を越したヒステリーともいうべき発作に悩まされました」
谷崎潤一郎痴人の愛」(1924)
自分が主殺しの大罪を犯したことに気がついて、後悔と恐怖とのために、そこにへたばってしまった。
菊池寛恩讐の彼方に」(1919)
目に見えているものが、いっとう神秘である。
中井正一美学入門」(1941)