母ちゃん、目に何か刺さった。抜いて、早く早く
新美南吉手袋を買いに」(1943)
みだれ髪を京の島田にかへし朝ふしていませの君ゆりおこす
与謝野晶子みだれ髪」(1901)
前にはあのようにあからさまには笑わなかった。
芥川龍之介」(1916)
私はもうこの世にはいないでしょう。とっくに死んでいるでしょう。
夏目漱石こころ」(1914)
私は生涯にまたとあるまじき重要な地位に立っているのだから。
倉田百三愛と認識との出発」(1921)
立派な身なりの、五十年配の奥さんが、椿屋の勝手口にお酒を売りに来て、一升三百円、とはっきり言いまして。
太宰治ヴィヨンの妻」(1947)
この糸にすがりついて、どこまでも登って行けば、きっと地獄から抜け出せるに違いありません。
芥川龍之介蜘蛛の糸」(1918)
老夫妻にはそれが自分たちの新しい夢と善意とを裏書きするもののように思われた。
フランツ・カフカ変身」(0)
昔が思い出されて、恋しいことが胸をいっぱいにして、帰って行く気になれない。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(29 行幸)」(1914)
真の貴族は、あんな岩島みたいな下手な気取り方なんか、しやしないよ。
太宰治斜陽」(1947)
東と西が出会い、互いに慰め合うことができるのだろう。
岡倉天心茶の本」(1906)
おかげ様で私も一人前の仙人になれました。
芥川龍之介仙人」(1922)
雲雀はきっと雲の中で死ぬに違いない。
夏目漱石草枕」(1906)
今に自分も、あの煙突から煙になって出るのだ。
小泉節子思い出の記」(1908)
われわれが死ぬまでにはこの世の中を少しなりとも善くして死にたいではありませんか
内村鑑三後世への最大遺物」(1897)
かかる生きた眼によって見る光が、初めて明るい光、暗い光、燃える紅、しみ入る大空の自由の青さを見ることができるのである。
中井正一美学入門」(1941)
石をもて追はるるごとくふるさとを出でしかなしみ消ゆる時なし
石川啄木一握の砂」(1910)
女は、自分の運命を決するのに、微笑一つでたくさんなのだ。
太宰治女生徒」(1939)