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生れ出づる悩み
有島武郎(1918年)
約24分
9,662字
あらすじ — 芸術か、生活か。北海道の漁師画家の魂の叫び
北海道の漁村で暮らす若い漁師が、絵を描きたいという衝動を抑えきれない。でも家族を養うために海に出なきゃいけない。芸術への情熱と生活の現実の間で引き裂かれる「君」の姿を、「私」(有島武郎本人)が見つめる。夢を追うことと生きることの間で苦しむすべての人に刺さる、100年前のリアルな青春物語。
この作品のひとふみ
君よ、つよく生きよ。
有島武郎
生れ出づる悩みを持つ者は、 その悩みの故に高い。
有島武郎
自然は美しかった。 恐ろしく美しかった。
有島武郎
君の眼はそこいらの画家の眼とは まるでちがっていた。 ぎらぎらと燃えていた。
有島武郎
海は君を呼んでいた。 そしてカンヴァスもまた 君を呼んでいた。
有島武郎
しかし君は描かずにはいられなかった。 描くことが君の呼吸であった。
有島武郎
荒い冬の海がうねりかえっていた。 波は暗い岩壁に打ちつけて、 白い泡をかんでは砕けた。
有島武郎
君の絵には学問がなかった。 しかし命があった。
有島武郎
芸術は長く、人生は短い。 しかし人生なくして 芸術はあり得ない。
有島武郎
君よ、自棄するなかれ。 世に生れ出づる悩みを 持てるものは幸いなるかな。
有島武郎
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