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そのまた向うには夕焼けの空の下に、 ぼんやり薄紫に横たわっている海さえ見えた。
芥川龍之介「トロッコ」
背景解説
トロッコの上から見た夕焼けと海の風景。すごくきれいなんだけど、良平はこの美しさに気づく余裕がない。子どもって、目の前の興奮に夢中で、景色の美しさには後から気づくものだよね。でもこの描写が読者の心に刺さる。美しさと不安が同時に存在する瞬間。
この美しい風景が、やがて恐怖の始まりになる。
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『トロッコ』の他のひとふみ
良平は毎日それを見る度に、 トロッコへ乗りたくてたまらなかった。
芥川龍之介
トロッコは線路を降りるように走り出した。 良平は眼を輝かせて、 両側の風景を見やった。
芥川龍之介
もう帰んな。 おれたちは今日はこっちに泊まるんだから。
芥川龍之介
良平はもう泣きたいのを我慢しながら、 一生懸命に走り続けた。
芥川龍之介
もう日が暮れる。―― そう思うと良平は一層走らずにはいられなくなった。
芥川龍之介
良平はとうとう泣き出した。 しかし足だけは止めなかった。
芥川龍之介
おうい。
芥川龍之介
やっとの事でそこまで来ると、 もう遠い薄暗がりの中にも、 見覚えのある家が何軒かあった。
芥川龍之介
既に二十六の良平には、 そんな事を思い出しても、 別段何とも思わない筈である。 しかし彼はどうかすると、 全然何の理由もないのに、 その時の彼を思い出す事がある。
芥川龍之介
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