親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。
夏目漱石坊っちゃん」(1906)
自嘲, 諦観自分の人生を冷徹に見つめたいとき
「その剃刀を抜いてくれ。己(おれ)は早く死にたいのだ。」と云った。
森鷗外高瀬舟」(1916)
絶望、懇願苦しみから解放されたいと願う人に向き合うとき
ソシテワスレズ
宮沢賢治雨ニモマケズ」(0)
責任感一度理解したことを大事にしたいとき
我母は余を活きたる辞書となさんとし、我官長は余を活きたる法律となさんとやしけん。辞書たらむは猶ほ堪ふべけれど、法律たらんは忍ぶべからず。
森鷗外舞姫」(1890)
反発、自我への目覚め親や上司の期待に縛られ、自分の人生に疑問を持ち始めたとき
けれども花と関りのない孤独は恐ろしくはなかったのです。
坂口安吾桜の森の満開の下」(1947)
気づき、安堵恐怖の正体に気づいたとき
理智は吾人に教へて曰く、運命流行の原則は、運命其物のみ之を知る。たゞ運命と人力との關係に至つては我能く之を知ると。
幸田露伴努力論」(1912)
冷静運命のせいにしたくなったとき
何が人生において最もよきことぞと問い顧みるとき、官能を透してくる物質の快楽よりも、恋する女と、愛する友と相抱いて、胸をぴたりと融合して、至情と至情との熱烈なる共鳴を感ずるそのときである。
倉田百三愛と認識との出発」(1921)
愛の本質人生で本当に大切なものを見つめ直したいとき
なにがしあわせか わからないです。
宮沢賢治銀河鉄道の夜」(1934)
迷い何が正しいかわからなくなったとき
ずるけてサボるんでねえんだ。働けねえからだよ
小林多喜二蟹工船」(1929)
悔しさ, 絶望自分の身体が限界に達したとき
クラムボンは死んだよ。
宮沢賢治やまなし」(1923)
恐怖、悲しみ無邪気な世界に突然死が侵入してくるとき
隣の広間の床に据(す)えてある置時計が次の刻(とき)を打つまでには、きっと悟って見せる。悟った上で、今夜また入室(にゅうしつ)する。そうして和尚の首と悟りと引替(ひきかえ)にしてやる。
夏目漱石夢十夜」(1908)
決意侮辱を受けた直後、絶望的な状況で覚悟を決めるとき
えたいの知れない不吉な塊が 私の心を始終圧えつけていた。
梶井基次郎檸檬」(1925)
憂鬱理由のない不安に襲われたとき
既に二十六の良平には、 そんな事を思い出しても、 別段何とも思わない筈である。 しかし彼はどうかすると、 全然何の理由もないのに、 その時の彼を思い出す事がある。
芥川龍之介トロッコ」(1922)
切なさふと子ども時代を思い出すとき
「めおとで食べたら 御利益がありまっせ」 と言われて、二人は善哉を頼んだ。 甘い善哉が、 二人の口に沁みた。
織田作之助夫婦善哉」(1940)
幸福小さな幸せを噛みしめるとき
戸はがたりとひらき、犬どもは吸い込まれるように飛んで行きました。
宮沢賢治山越え」(1921)
不可抗力、運命への従属感、恐怖何かに支配されている、逃げられない感覚を覚えるとき
椅子の中の恋(!)それがまあ、どんなに不可思議な、陶酔的な魅力を持つか、実際に椅子の中へ這入って見た人でなくては、分るものではありません。
江戸川乱歩人間椅子」(1925)
陶酔, 孤独, 危機感社会から隔絶された異常な世界に引き込まれていく自分に気付きながらも、抜け出せないとき
丈夫ナカラダヲモチ
宮沢賢治雨ニモマケズ」(0)
希望、シンプルさへの憧れ複雑な人生に疲れたとき
いかに多くの偽なるものを私は、若い頃、真なるものとして認めたか、またそれを基としてその後私がその上に建てたあらゆるものがいかに疑わしいものであるか
デカルト省察」(1641)
知的覚醒これまでの価値観が揺らいだとき
虫が知らすとでも云うのか、何だかこう、傍見をしているすきに何事か起り相で、どうも外へ目を向けられなかったのだ。
江戸川乱歩D坂の殺人事件」(1925)
不安、直感、緊張何かが起ころうとしていることを無意識に感じているとき
始めは小さき鶏かと思いしが溝(みぞ)の草に隠れて見えざればすなわち野鳥なることを知れり。
柳田国男遠野物語」(1910)
驚き, 発見予想と現実のズレに気付いたとき、未知のものに出会ったとき