河童
芥川龍之介0年)
小説6237,163怪奇・幻想社会批評皮肉
あらすじ — 異世界河童国のヤバい真実
精神病院の患者第二十三号が語る奇怪な体験記。三年前、上高地で登山中の男は濃霧の中で河童を発見し、それを追いかけているうちに穴に落ちて河童の国へと迷い込む。目覚めると河童たちに囲まれ、医者のチャックに治療を受けた後、「特別保護住民」として河童の国で生活することになる。 河童の国は人間社会と似通った文明を持ちながらも、価値観は正反対である。河童は皮膚の色を周囲に合わせて変えることができ、着物を着ずに腹部の袋に物を収納する。彼らは人間が真面目に考える正義や人道を滑稽がり、人間が滑稽と思うことを真面目に捉える奇妙な習性を持つ。 男は漁師のバッグや医者のチャック、硝子会社社長のゲエルらと親交を深め、河童の言語を覚えながら彼らの風俗習慣を観察していく。しかし河童の国での体験を語る男は今や精神病院の患者となり、話を聞く者に対して最後には「悪党め!」と激しく罵倒するのであった。芥川龍之介による痛烈な人間社会批判の寓話である。
この作品のひとふみ
これはある精神病院の患者、――第二十三号が誰にでもしゃべる話である。
芥川龍之介
出て行け! この悪党めが! 貴様も馬鹿な、嫉妬深い、猥褻な、図々しい、うぬ惚れきった、残酷な、虫のよい動物なんだろう。
芥川龍之介
河童は我々人間が河童のことを知っているよりも遥かに人間のことを知っています。
芥川龍之介
お前はこの世界へ生れて来るかどうか、よく考えた上で返事をしろ。
芥川龍之介
僕は生れたくはありません。第一僕のお父さんの遺伝は精神病だけでも大へんです。
芥川龍之介
河童は我々人間のように一定の皮膚の色を持っていません。
芥川龍之介
我々人間は正義とか人道とかいうことを真面目に思う、しかし河童はそんなことを聞くと、腹をかかえて笑い出すのです。
芥川龍之介
それはみんな食ってしまうのですよ。
芥川龍之介
どうです? 一つとりませんか? これも職工の肉ですがね。
芥川龍之介
僕はロツクを恐れている。
芥川龍之介
阿呆はいつも彼以外のものを阿呆であると信じている。
芥川龍之介
我々は人間よりも不幸である。人間は河童ほど進化していない。
芥川龍之介
あの河童は無罪ですよ。
芥川龍之介
ただその犯罪の名を言って聞かせるだけです。
芥川龍之介
しめた! すばらしい葬送曲が出来るぞ。
芥川龍之介
河童の国は当時の僕には故郷のように感ぜられましたから。
芥川龍之介
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