もどる
弓?と老人は笑う。
中島敦「名人伝」
背景解説
たった一言の「弓?」という問い返しで、弓矢という道具に依存した射術の限界が明らかになる瞬間。笑いながら発せられた言葉だからこそ、その軽やかさが逆に紀昌の価値観を根底から揺るがす。真の技とは何かという問いが、この短い台詞に凝縮されている。
道具すら必要としない究極の技が存在するのか?
あらすじを見てみる →
本文を読む →
『名人伝』の他のひとふみ
名人紀昌は終に弓を手にしなくなった。
中島敦
弓というものがどんな物であったか、それも思い出せぬ。
中島敦
射之射ではなく、不射之射でなければならぬ。
中島敦
紀昌は的を見ることと瞬きをしないこととを学んだ。それだけの修行に三年かかった。
中島敦
ああ、夫子が、——古今無双の射の名人たる夫子が、弓を忘れ果てられたとや?
中島敦
← ホームに戻る