見よ、鳶は羽ばたきもせず中空から石のように落ちて来るではないか。
中島敦名人伝」(1942)
鏡は自惚れの醸造器であるごとく、同時に自慢の消毒器である
夏目漱石吾輩は猫である」(1905)
人もし事をなし、もしくは思を運らす時に当って、おのれが胸裏の消息に注意して見よ。
幸田露伴努力論」(1912)
晩に新しい下駄をおろすと狐がつくというよ
新美南吉」(1943)
ただ漠然と親というものの面影を今日まで心に作って来ているだけだった。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(22 玉鬘)」(1914)
いやだったら、いやだったら、いやだったら!
新美南吉」(1943)
風に吹かれてどこへでも行ってしまおうというのは少し軽々しい。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(28 野分)」(1914)
あの蠟燭が尽きないうちに私が眠るか、またはコップ一杯の酔いが覚めてしまうか、どちらかでないと、キクちゃんが、あぶない。
太宰治」(1947)
この糸にすがりついて、どこまでも登って行けば、きっと地獄から抜け出せるに違いありません。
芥川龍之介蜘蛛の糸」(1918)
安寿恋しや、ほうやれほ。厨子王恋しや、ほうやれほ。
森鷗外高瀬舟」(1916)
私は自分が日記をつけていることを夫に感づかれるようなヘマはやらない。
谷崎潤一郎」(1956)
またまたこんな頼りない御身分になってしまわれるなんて、悲しいことですね。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(15 蓬生)」(1914)
幸福を語ることがすでに何か不道徳なことであるかのように感じられるほど今の世の中は不幸に満ちているのではあるまいか。
三木清人生論ノート」(1941)