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小さき者へ
有島武郎(1918年)
約16分
6,345字
あらすじ — 死んだ妻の代わりに、父が子へ贈る魂の手紙
妻を結核で亡くした有島武郎が、残された三人の幼い子どもたちに向けて書いた手紙形式の短編。自分のダメな部分も正直に告白しながら、「お前たちの中にお母さんは生きている」と語りかける。最後の一文「前途は遠い。そして暗い。然し恐れてはならぬ」は、100年経った今も胸を打つ。
この作品のひとふみ
小さき者よ。不幸なそして同時に幸福な汝等の父と母との祝福を胸にしめて人の世の旅に登れ。
有島武郎
前途は遠い。そして暗い。然し恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。
有島武郎
行け。勇んで。小さき者よ。
有島武郎
お前たちの母上は実にお前たちの母上であるに値した人であった。
有島武郎
私はお前たちに何を遺してやったらいいかを考えた。お前たちの生涯の伴侶として何が一番役に立つかを考えた。
有島武郎
私はお前たちに「お前たちの母上はこの世で最も美しい人であった」と言おう。
有島武郎
お前たちの中には母上の血が流れている。母上は決して死んではいない。
有島武郎
私は今の私を恥ずかしいとは思わない。然し満足しているとも思わない。
有島武郎
世間は常にお前たちの味方ではない事を心に銘じなければいけない。
有島武郎
お前たちは寒い冬の夜でも、私の足の裏をその小さい暖い手で撫でてくれた。
有島武郎
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