ぼくは損害を賠償してもらう権利があります。そのためにご子息壮二君を人質としてつれてかえりました。
江戸川乱歩怪人二十面相
背景解説
犯人が堂々と『損害賠償だから人質とるのは正当だ』って言い張ってる…ってやばくない?無実の少年を巻き込んで自分の身勝手な理屈を振りかざす、この狂った正義感が怖すぎ。乱歩の傑作は、こういう『ちょっと間違えば誰でも悪役になれる』という怖さを描くのが上手いんです。
その言葉を聞いた警察と少年の家族は、この究極のゆすりに立ち向かえるのか——怪人二十面相との心理戦の終幕が迫ります。
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怪人二十面相』の他のひとふみ
いや、賊自身でも、ほんとうの顔をわすれてしまっているのかもしれません。
江戸川乱歩
血がきらいなのです。
江戸川乱歩
徒手空拳(としゅくうけん)、南洋の島へおしわたって、今日(こんにち)の成功をおさめたほどの快男児ですから、この人さえ帰ってくれたら、家内のものは、どんなに心じょうぶだかしれません。
江戸川乱歩
ただもう、無性(むしょう)にわなをしかけてみたくなったのです。
江戸川乱歩
あいつは、その時とばあいによって、どんな手段でも考えだす知恵を持っているのです。
江戸川乱歩
でも、それは箱です。
江戸川乱歩
ハハハ……、二十面相は童話の中の魔法使いです。だれにでもできないことを、実行してみせるのです。
江戸川乱歩
ピストルはおもちゃだったのです。さいぜんから、おもちゃのピストルにおびえて、人を呼ぶこともできなかったのです。
江戸川乱歩
まさかそんなことがと、松野は、自分の想像を信じる気になれないのです。でも、このたしかなしょうこをどうしましょう。命のない竹ぎれが、呼吸をするはずはないではありませんか。
江戸川乱歩
松野はそのとき、みんなを呼べばよかったのです。でも、彼は手がらをひとりじめにしたかったのでしょう。他人の力を借りないで、そのうたがいをはらしてみようと思いました。
江戸川乱歩
ちくしょうめ、やられたんです。あいつにやられたんです。
江戸川乱歩
それから、池の岸で、どんなことがおこったかは、しばらく読者諸君のご想像にまかせます。
江戸川乱歩
壮二君は今、拙宅のつめたい地下室にとじこめられて、暗やみの中でシクシク泣いております。
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