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お前はその風の中に何かしら人間の力では遂に到達し得ない或る楽天的なものを嗅ぎ出しているようであった。
堀辰雄「風立ちぬ」
背景解説
病気の節子が風の中で見せる笑顔。普通なら絶望するはずの状況なのに、彼女は風の中に「楽天的なもの」を感じ取っている。人間の力では届かないはずの境地に、節子は自然に立っている。その姿を見て、「私」は愛おしさと切なさで胸がいっぱいになる。
死を前にした人が見せる笑顔は、なぜこんなに眩しいのか。
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『風立ちぬ』の他のひとふみ
風立ちぬ、いざ生きめやも。
堀辰雄
私達はそんな幸福の中にいつまでもいた。
堀辰雄
私達はいまこそあらん限りの力で生きようとしなければならないのだ。
堀辰雄
それらの幸福は、それが最も壊れやすいもので出来ているように見えながらも、どんな物の力でも打ちくだけそうになかった。
堀辰雄
お前、私がこうしていると何をしているように見える? ……死の影の谷を歩いているように見えるかしら?
堀辰雄
冬が来ていた。あの鋭い冬が――
堀辰雄
……彼女がもし生きていたならば、今はもうどんなに美しい女になっていたことだろう。
堀辰雄
私は生きている。――そうだ、それだけで充分じゃないか。
堀辰雄
幸福というものは、一方で何かが欠けていることが必要なんだ。
堀辰雄
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