私は買い物かごを抱えて、細かく震えながら一心に一心に待っているのだ。
太宰治待つ」(1942)
真の貴族は、あんな岩島みたいな下手な気取り方なんか、しやしないよ。
太宰治斜陽」(1947)
何というやさしい、何という美しい、何というおっとりした声なんでしょう
新美南吉でんでんむしのかなしみ」(1935)
全く、どんな事でも起こり得るのだと思って、深く恐れた。
中島敦山月記」(1942)
私は生まれて五十年、人の金を一銭でも借りたことはない
福沢諭吉福翁自伝」(1899)
ああカッコウ。あのときはすまなかったなあ。おれは怒ったんじゃなかったんだ。
宮沢賢治セロ弾きのゴーシュ」(1934)
あらゆることを自分を勘定に入れずによく見聞きし分かり
宮沢賢治雨ニモマケズ」(0)
本当に私は、どれが本当の自分だか分からない。
太宰治女生徒」(1939)
自分の体もまた一つの大自然であり、山あり川あり、無限の喜びと悲しみを持っている大きな天地ではないだろうか。
中井正一美学入門」(1941)
これがおばあさまか、これがお父さんか、お母さんかと驚くほどにみんな変わっていた。
有島武郎生れ出づる悩み」(1918)
私、豊太郎、お前はここまで俺をだましたのか。
森鷗外舞姫」(1890)
おれたちは、これで、うまく行ってる方じゃないかなあ。
岸田国士紙風船」(1925)
二年の後には、激しく往復する踏み木が睫毛(まつげ)をかすめても、絶えて瞬くことがなくなった。
中島敦名人伝」(1942)
あたりまえということが大切に思われてもいいがナ
島崎藤村破戒」(1906)
ここが目的の場所よ。潤ちゃん、あんた何を見ても、声を立てたりしちゃいけませんよ。
江戸川乱歩黒蜥蜴」(1934)