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蝶子は柳吉に惚れていた。 惚れた相手なら仕方がないと 思うのが女の悲しさであった。
織田作之助「夫婦善哉」(1940)
切なさ
好きな人にどうしても甘くなってしまうとき
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これはきっとその注文というのは、 こっちへ来た人にいろいろ注文をつけて、 その人をたべるんだよ。
宮沢賢治「注文の多い料理店」(1924)
恐怖
真実に気づいた瞬間
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あなたばかりではありません。わたしの背中にも、悲しみはいっぱいです。
新美南吉「でんでんむしのかなしみ」(1935)
驚き、連帯
自分だけが苦しんでいると思っていたのに、同じ痛みを持つ人に出会ったとき
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何アんだ、俺達と同じ人間ではないか、ということが、然し直ぐ分らさった。
小林多喜二「蟹工船」(1929)
発見, 希望, 共感の転換
ロシア人に助けられ、はじめての人間的なふれあいを経験したとき
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兵十は火縄銃(ひなわじゅう)をばたりと、とり落しました。青い煙が、まだ筒口から細く出ていました。
新美南吉「ごんぎつね」(1932)
衝撃、絶望
取り返しのつかないことが起きた瞬間
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毎月曜日と金曜日の午後、夫人の胸に抱かれて踊ること。そのほんの一時間が、いつの間にか私の何よりの楽しみとなっていたのです。
谷崎潤一郎「痴人の愛」(1924)
喜び
人生で初めて西洋人女性と親密に接する時間を得たとき
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誰だって身体がおかしくなっていた。イザとなったら「仕方がない」やるさ。「殺されること」はどっち道同じことだ。そんな気が皆にあった。――ただ、もうたまらなかった。
小林多喜二「蟹工船」(1929)
絶望, 諦念, 怒り
限界まで搾取された労働者たちの心情を知りたいとき
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ずるけてサボるんでねえんだ。働けねえからだよ
小林多喜二「蟹工船」(1929)
悲しみ, 怒り
労働者が自分の限界を突きつけられたとき
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幸福は人格である。ひとが外套を脱ぎすてるようにいつでも気楽にほかの幸福は脱ぎすてることのできる者が最も幸福な人である
三木清「人生論ノート」(1941)
気づき
幸せの意味がわからなくなったとき
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朝は、いつでも自信がない。
太宰治「女生徒」(1939)
孤独
朝、自分に自信が持てないとき
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己の珠に非ざることを 惧れるが故に、 敢て刻苦して磨こうともせず
中島敦「山月記」(1942)
後悔
努力から逃げてしまったとき
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憐れな私は親孝行のできない境遇にいた。
夏目漱石「こころ」(1914)
孤独, 切なさ, 悲しみ
努力しても報われない時に, 葛藤の中で身動きが取れない時に
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人間の心には互に矛盾した二つの感情がある。勿論、誰でも他人の不幸に同情しない者はない。所がその人がその不幸を、どうにかして切りぬける事が出来ると、今度はこっちで何となく物足りないような心もちがする。
芥川龍之介「鼻」(1916)
怒り, 絶望, 人間不信
人間関係への不信感を感じたり、誰かの裏切りに気づいたとき
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『鼻』を見る
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もうあんまりあるきたくないな。
宮沢賢治「山越え」(1921)
疲弊, 諦め, 無力感
努力が報われず、先へ進むことに疲れたとき
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云いようのない疲労と倦怠とが、 まるで雪曇りの空のようなどんよりした影を 落していた。
芥川龍之介「蜜柑」(1919)
孤独
何もかもが退屈でうんざりするとき
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杜子春は寒さと恐しさとに、殆(ほとんど)気を失いそうになりましたが、しかし鉄冠子の言葉を覚えていましたから、唇を噛みしめたまま、じっと我慢をしていました。
芥川龍之介「杜子春」(1920)
恐怖、忍耐
恐ろしい状況でも何かを守るために耐え続けるとき
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けれども花と関りのない孤独は恐ろしくはなかったのです。
坂口安吾「桜の森の満開の下」(1947)
気づき、安堵
恐怖の正体に気づいたとき
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やっぱり、日本人は、同じ日本人に対してでなければ、本当の恋を感じることが出来ないのではあるまいか。
江戸川乱歩「人間椅子」(1925)
切なさ、渇望
異国人との関係に精神的な満たされなさを感じているとき
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そしてよだかの星は 燃えつづけました。 いつまでもいつまでも 燃えつづけました。
宮沢賢治「よだかの星」(1934)
希望
報われたいと願うとき
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ぼくはもう何か喰べたくて倒れそうなんだ。
宮沢賢治「山越え」(1921)
切実さ, 疲労
空腹で限界を感じているとき
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