人間というものは到底(とうてい)吾輩猫属(ねこぞく)の言語を解し得るくらいに天の恵(めぐみ)に浴しておらん動物である
夏目漱石吾輩は猫である」(1905)
諦観、孤独誰かに自分の気持ちを理解してもらえず、その無力さを感じるとき
きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写して誰にか見せむ。
森鷗外舞姫」(1890)
虚無感、不安定さへの気づき自分の変わりやすさに気づいたとき
けれどもほんとうのさいわいは 一体何だろう
宮沢賢治銀河鉄道の夜」(1934)
問い大切なものを失ったとき
里見さんを描いちゃ、だれが描いたって、間が抜けてるようには描けませんよ
夏目漱石三四郎」(1908)
切なさ, 悔恨失ってしまった大切な人への想いが消えないとき
縦令(よしや)富貴になり玉ふ日はありとも、われをば見棄て玉はじ。
森鷗外舞姫」(1890)
切なさ, 不安, 愛情愛する者との別れが近づいたとき
私死にましたの知らせ、要りません。若し人が尋ねましたならば、はああれは先頃なくなりました。それでよいです
小泉節子思い出の記」(1908)
潔さ, 静寂への憧憬自分の死後、周囲が悲しむことを望まないとき
私は、そうして、一つ一つ椅子を仕上げる度毎に、いい知れぬ味気なさに襲われるのでございます。
江戸川乱歩人間椅子」(1925)
虚無感、絶望自分の人生に意味を見出せなくなったとき
クラムボンは死んだよ。
宮沢賢治やまなし」(1923)
恐怖、悲しみ無邪気な世界に突然死が侵入してくるとき
「これで」と、ザムザ氏がいった。「神様に感謝できる」
フランツ・カフカ変身」(0)
怒り、絶望、違和感グレゴールの死を知った父親の第一声を聞くとき
ぼくは二千四百円の損害だ
宮沢賢治注文の多い料理店」(1924)
滑稽命の危険より金を気にしちゃうとき
射之射ではなく、不射之射でなければならぬ。
中島敦名人伝」(1942)
畏敬、神秘技術の先にある哲学に触れたいとき
戸はがたりとひらき、犬どもは吸い込まれるように飛んで行きました。
宮沢賢治山越え」(1921)
不可抗力、運命への従属感、恐怖何かに支配されている、逃げられない感覚を覚えるとき
私は思わず息を呑んだ。 そうして瞬間的にあらゆる事を了解した。
芥川龍之介蜜柑」(1919)
驚きすべてが一瞬で理解できた瞬間
髪をきちんとして、 それから靴の泥を落してください。
宮沢賢治注文の多い料理店」(1924)
好奇心言われるがままに従ってしまうとき
吾輩は頭をもって活動すべき天命を受けてこの娑婆(しゃば)に出現したほどの古今来(ここんらい)の猫であれば、非常に大事な身体である。
夏目漱石吾輩は猫である」(1905)
誇り, 自己主張自分の価値を社会に認めさせたいとき
人と人との交際に趣味のあるのとないのとは、金銭や物件で差引勘定の出来ないところにある。
新渡戸稲造自警録」(1916)
あたたかさ人間関係が損得勘定になっていると感じるとき
いつまでも、いつまで経っても、夜が明けなければいい、と思いました。
太宰治ヴィヨンの妻」(1947)
絶望, 切なさ現実と向き合いたくないとき
私が死のうと決心してから、もう十日以上になりますが、その大部分はあなたにこの長い自叙伝の一節を書き残すために使用されたものと思って下さい。
夏目漱石こころ」(1914)
決意人生の最後に何かを遺したいと思ったとき
トロメライ、ロマチックシューマン作曲。 弾いてごらんなさい。
宮沢賢治セロ弾きのゴーシュ」(1934)
好奇心思いがけない相手から教わるとき
あの通りの眉や鼻が木の中に埋っているのを、鑿と槌の力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない
夏目漱石夢十夜」(1908)
驚き自分の認識が根本から変わるとき