併し、あの電燈を消したのが犯人だとすれば、スイッチにその指紋が残っていなければなりません。
江戸川乱歩D坂の殺人事件」(1925)
決意論理的な推理で相手を追い詰めたいとき
今まではあまり類例のなかった私たちの如(ごと)き夫婦関係も、追い追い諸方に生じるだろうと思われますから。
谷崎潤一郎痴人の愛」(1924)
希望自分たちの人生経験が普遍的な価値を持つと気づいたとき
垢じみた萌黄色の毛糸の襟巻をした、 大きな風呂敷包みを抱えた、 十三四の小娘
芥川龍之介蜜柑」(1919)
驚き第一印象で人を判断しちゃうとき
翡翠(ひすい)のような色をした蓮の葉の上に、極楽の蜘蛛が一匹、美しい銀色の糸をかけて居ります。
芥川龍之介蜘蛛の糸」(1918)
切なさ救われたいのに救われない状況に置かれているとき
自分もまた一字一句をも加減せず感じたるままを書きたり。
柳田国男遠野物語」(1910)
誠実さ, 真摯さ創作と現実の狭間で、何を信じるべきか迷っているとき
なぜグレゴールだけが、ほんのちょっと遅刻しただけですぐ最大の疑いをかけるような商会に勤めるように運命づけられたのだろうか。
フランツ・カフカ変身」(0)
怒り, 悲しみ朝寝坊で支配人が訪ねてきたとき
蠅は最も高い馬の耳の上に止まって、眼の下に落ちてゆく世界をじっと見おろしていた。
横光利一」(1923)
静寂、超越世界が崩壊する瞬間を、外から眺めるしかないとき
君よ、つよく生きよ。
有島武郎生れ出づる悩み」(1918)
激励自分の道を信じたいとき
ゴーシュはおれはおこったんじゃなかったんだ。 あのときはほんとうにすまなかった。
宮沢賢治セロ弾きのゴーシュ」(1934)
切なさあとから自分の間違いに気づいたとき
われわれの最も意を注ぐべき心掛は平常毎日の言行——言行と言わんよりは心の持ち方、精神の態度である。
新渡戸稲造自警録」(1916)
引き締まる日々の生活を見直したいとき
鳥も獣も一疋も居やがらん。なんでも構わないから、早くタンタアーンと、やって見たいもんだなあ。
宮沢賢治山越え」(1921)
焦燥感、暴力衝動獲物がいない山で、何でもいいから撃ちたい欲望に駆られたとき
それは、ただ、触覚と、聴覚と、そして僅の嗅覚のみの恋でございます。暗闇の世界の恋でございます。決してこの世のものではありません。これこそ、悪魔の国の愛慾なのではございますまいか。
江戸川乱歩人間椅子」(1925)
陶酔, 恐怖, 倒錯椅子の中で人間の肉体に触れることの快楽に目覚めたとき
よだかは実にみにくい鳥でした。
宮沢賢治よだかの星」(1934)
悲しみ自分の外見に自信がないとき
学問するには、その志を高遠にせざるべからず。飯を炊き、風呂の火を焚くも学問なり。天下の事を論ずるもまた学問なり。されども一家の世帯は易くして、天下の経済は難し。
福沢諭吉学問のすすめ」(1872)
決意学問の道を志すとき、自分の人生の目標について考えるとき
自己の所有している権力を使用しようと思うならば、それに附随している義務というものを心得なければならない
夏目漱石私の個人主義」(1914)
覚悟力を持ったとき、その使い方に悩むとき
桜の花が咲くと人々は酒をぶらさげたり団子をたべて花の下を歩いて絶景だの春ランマンだのと浮かれて陽気になりますが、これは嘘です。
坂口安吾桜の森の満開の下」(1947)
不穏、挑発常識を疑いたくなったとき
かっこうかっこうかっこうかっこうかっこう
宮沢賢治セロ弾きのゴーシュ」(1934)
好奇心何度も同じことを繰り返しているとき
つまり卒業はお前に取ってより、このおれに取って結構なんだ。解ったかい
夏目漱石こころ」(1914)
切なさ, 愛情親の死を覚悟した父の真摯な思いを初めて理解するとき
では、己が引剥をしようと 恨むまいな。 己もそうしなければ、 饑死をする体なのだ。
芥川龍之介羅生門」(1915)
決意開き直るとき
お前が学資を続ける方法がないために、もう幾月も大学をやめてしまい、出稽古その他の口もなくなったと知った時、わたしの気持はどんなだったでしょう!
ドストエフスキー罪と罰」(0)
悲しみ、切なさ親が子どもの困窮を知ったとき