俺は世の中を駆けて通った。そしてあらゆる歓楽を、髪を掴んで引き寄せるようにした。
ゲーテファウスト」(1808)
「ナオミちゃん、お前の顔はメリー・ピクフォードに似ているね」
谷崎潤一郎痴人の愛」(1924)
お前はもう帰れ。俺たちは今日は向こう泊まりだから。
芥川龍之介トロッコ」(1922)
私は愛することはなかなかできないけれど私は愛せねばならない。
倉田百三愛と認識との出発」(1921)
まるで疲れ果てた人のように仰向けに寝ていた。
柳田国男遠野物語」(1910)
私には思想なんてものはありませんよ。好き、嫌いだけですよ。
太宰治黄金風景」(1939)
かかる生きた眼によって見る光が、初めて明るい光、暗い光、燃える紅、しみ入る大空の自由の青さを見ることができるのである。
中井正一美学入門」(1941)
「あんなものを熱心に見物する女はみんな間違っている」
夏目漱石三四郎」(1908)
一度でも我に頭を下げさせし人みな死ねといのりてしこと
石川啄木一握の砂」(1910)
これが別れだよ。安寿は守本尊の地蔵様を大切にしておくれ。厨子王はお父様の下さった守り刀を大切にしておくれ。
森鷗外高瀬舟」(1916)
内供はなまじっか鼻が短くなったのが、かえって恨めしくなった。
芥川龍之介」(1916)
麻酔薬はうわ言を言うと申すから、それが怖くてなりません。
泉鏡花外科室」(1895)
何という美しい、何というおっとりした声なんでしょう。
新美南吉手袋を買いに」(1943)
ことに太ったお方や若いお方は、大歓迎いたします
宮沢賢治山越え」(1921)
すべての人間が神の前においては平等であることを知らない者の人間の世界において平均化を求める傾向である。
三木清人生論ノート」(1941)