「野暮は揉まれて粋となる」というのはこの謂にほかならない。
九鬼周造「いき」の構造」(1930)
納得,共感人生の苦労を重ねたとき
猪子先生は 壇上で倒れた。 差別と闘い続けた その体は、もう限界であった。
島崎藤村破戒」(1906)
悲痛信じていた人を失いそうになるとき
アプリオリにはまるでこう云われません。もし二つの出来事が基準系 K に関して同時刻であるなら、同じ出来事は基準系 K' に関してもまた同時刻的であると。つまり時間は一の絶対な、すなわち基準系の運動状態に無関係な意味をもっているとは云われません。
アインシュタイン相対性理論」(1916)
常識の崩壊「当たり前」を疑いたいとき
「生」に於て、「美」は死滅する。が、「藝術」に於ては、死滅しない。
レオナルド・ダ・ヴインチレオナルド・ダ・ヴインチの手記」(1914)
芸術の永遠性何かを残したいと思ったとき
世間というのは、 君じゃないか
太宰治人間失格」(1948)
怒り「世間」を振りかざす人に出会ったとき
美しいものを美しいままで終らせたいということは一般的な心情の一つのようだ。
坂口安吾堕落論」(1947)
切なさ、諦観理想と現実のギャップに直面したとき
ここにのみは軽く塵たち紅き物いささかひらめきて一村の緑に映じたり。
柳田国男遠野物語」(1910)
驚き, 美しさへの感動日常から非日常へ足を踏み入れたとき
この世の中はけっして悪魔が支配する世の中にあらずして、神が支配する世の中であることを信ずることである
内村鑑三後世への最大遺物」(1897)
希望世の中が悪い方向に進んでいると感じたとき
哲学は現実に就いて考えるのでなく、現実の中から考えるのである。
三木清哲学入門」(1940)
目が覚める頭でっかちになっているとき
学問をする人がうるさい俗用を避けて、なるべく単純な生活にがまんするのは、みんな研究のためやむをえないんだからしかたがない。野々宮のような外国にまで聞こえるほどの仕事をする人が、普通の学生同様な下宿にはいっているのも必竟野々宮が偉いからのことで、下宿がきたなければきたないほど尊敬しなくってはならない。
夏目漱石三四郎」(1908)
自己否定, 劣等感, 挫折自分と野々宮を比較して、美禰子から軽んじられていることに気づいたとき
青春というものは、ずいぶん大事なものなのよ。
太宰治葉桜と魔笛」(1939)
切望,後悔病気で死を前にして青春を振り返るとき
愉快だなあ。 この出だしのところはいままでの中で いちばんいいような気がするなあ。
宮沢賢治セロ弾きのゴーシュ」(1934)
希望練習していて手応えを感じたとき
『私の好きの遊び、あなたよく知る。ただ思う、と書くとです。書く仕事あれば、私疲れない、と喜ぶです。書く時、皆心配忘れるですから、私に話し下され』
小泉節子思い出の記」(1908)
決意人付き合いを避けることについて妻に問われたとき
春の日の夕暮は静かです
中原中也山羊の歌」(1934)
静寂,平和静かな夕暮れ時に、心が落ち着いているとき
毎日毎日、失敗に失敗を重ねて、あか恥ばかりかいていたら、少しは重厚になるかも知れない。
太宰治女生徒」(1939)
自己嫌悪,皮肉自分の軽薄さに嫌気がさしたとき
人はやゝもすれば努力の無效に終ることを訴へて嗟歎するもある。
幸田露伴努力論」(1912)
嘆き,共感努力が報われないと感じるとき
ゴーシュはかっこうがこんやあたり来るかなと思いながら また一生けん命セロを弾きました。
宮沢賢治セロ弾きのゴーシュ」(1934)
決意一人で黙々と練習しているとき
風立ちぬ、いざ生きめやも。
堀辰雄風立ちぬ」(1938)
決意困難に立ち向かう覚悟を決めたとき
いろいろ注文が多くて うるさかったでしょう。 お気の毒でした。 もうこれだけです。
宮沢賢治注文の多い料理店」(1924)
恐怖安心させる言葉が一番怖いとき
その時私は明治の精神が天皇に始まって天皇に終ったような気がしました。最も強く明治の影響を受けた私どもが、その後(あと)に生き残っているのは必竟(ひっきょう)時勢遅れだという感じが烈(はげ)しく私の胸を打ちました。
夏目漱石こころ」(1914)
喪失感, 絶望, 時代への違和感自分が所属していた時代や価値観が終わったと感じるとき、生きる意味を失ったとき