愛されたい願いが善い願いならば事実として愛されなくとも、死ぬまで依然として愛されたいと願うべきである。
倉田百三愛と認識との出発」(1921)
理想は椅子にあるものでないから、椅子を得たによってまっとうするとはいわれない。
新渡戸稲造自警録」(1916)
希望はあらず、さてはまた、懺悔もあらず。
中原中也山羊の歌」(1934)
人間の住居というよりも、むしろ何かの巣といった方が、よほど適当している。
宮本百合子貧しき人々の群」(1916)
お前はもう帰れ。俺たちは今日は向こう泊まりだから。
芥川龍之介トロッコ」(1922)
猫、猫、猫、猫、猫、猫、猫。どこを見ても猫ばかりだ。
萩原朔太郎猫町」(1935)
住吉の神が導いてくださるのについて、早くこの浦を去ってしまうがよい。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(13 明石)」(1914)
媚態とは、一元的の自己が自己に対して異性を措定し、自己と異性との間に可能的関係を構成する二元的態度である。
九鬼周造「いき」の構造」(1930)
私は、今夜、殺される。殺されるために走るのだ。
太宰治走れメロス」(1940)
夜になると毎晩家うちの前で立っていたんじゃが、敷居が高うて入れなかった
菊池寛父帰る」(1917)
ああ、かぶとむしや、たくさんの羽虫が、毎晩僕に殺される。
宮沢賢治よだかの星」(1934)
指導者は全部、無学であった。常識のレベルにさえ達していなかった。
太宰治黄金風景」(1939)
一夜のうちに姉の姿は消えて、そこに一本の柳となっていたのです。
小川未明赤い船」(1922)
私にもそうらしく思われて来ました。逃げて都へも行かれます。
森鷗外高瀬舟」(1916)