俺の父親は俺が八歳になるまで家を外に飲み歩いていたのだ。
菊池寛藤十郎の恋」(1919)
立派な身なりの、五十年配の奥さんが、椿屋の勝手口にお酒を売りに来て、一升三百円、とはっきり言いまして。
太宰治ヴィヨンの妻」(1947)
足あり、仁王の足の如し。足あり、他人の足の如し。
正岡子規病床六尺」(1902)
妾は盲人なれども鼻は確たしかなり、々そうそうに去って含嗽をせよ
谷崎潤一郎春琴抄」(1933)
若い二人の恋が愈いよいよ人目に余るようになったのはこの頃であった。
田山花袋蒲団」(1907)
いかなる小事にあたっても、なにかことをなすときは、ちょっと退いて考えたい。
新渡戸稲造自警録」(1916)
こんな月夜には、子供たちは何か夢みたいなことを考えがちでした。
新美南吉」(1943)
僕がついているからにはお嬢さんは安全です。どんな兇賊でも、僕の目をかすめることは全く不可能です
江戸川乱歩黒蜥蜴」(1934)
ああ、かぶとむしや、たくさんの羽虫が、毎晩僕に殺される。
宮沢賢治よだかの星」(1934)
本当に私は、どれが本当の自分だか分からない。
太宰治女生徒」(1939)
名前なんてどうでもいいじゃないか。忘れたって全然不自由はしない。
夢野久作ドグラ・マグラ」(1935)
私のために門閥制度は親の敵でございる。
福沢諭吉福翁自伝」(1899)