そんなことをしてはたいへんよ。世間体もあります。私が生きている間は邸を人手に渡すなどということはできるものではない。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(15 蓬生)」(1914)
自分が主殺しの大罪を犯したことに気がついて、後悔と恐怖とのために、そこにへたばってしまった。
菊池寛恩讐の彼方に」(1919)
逆上は普通の人間を、普通の人間の程度以上につり上げて、常識のある者に、非常識を与える者である。
夏目漱石吾輩は猫である」(1905)
「いき」は恋の束縛に超越した自由なる浮気心でなければならぬ。
九鬼周造「いき」の構造」(1930)
歌はどうして作る。じつと観み、じつと愛し、じつと抱きしめて作る。
与謝野晶子晶子詩篇全集」(1929)
私は仙人になりたいのだから、そういう所へ住み込ませてください。
芥川龍之介仙人」(1922)
私のために門閥制度は親の敵でございる。
福沢諭吉福翁自伝」(1899)
失敗をこわがる人は科学者にはなれない。
寺田寅彦科学者とあたま」(1933)
万というからには何事でも、口入れをするのが本当です。
芥川龍之介仙人」(1922)
まるで疲れ果てた人のように仰向けに寝ていた。
柳田国男遠野物語」(1910)
いったい誰が微生高を正直者などと言い出したのだ。
下村湖人現代訳論語」(1949)
そんな醜い容貌を持ちながら、胸の中では、人知れず、世にも激しい情熱を、燃やしていたのでございます。
江戸川乱歩人間椅子」(1925)
自分には、人間の生活というものがよくわからないのです。
太宰治人間失格」(1948)
人間の多くは金銭においてではないが、うららかな時間と夏の日において富んでいる。
ソロー森の生活」(1854)