私は依然として未知の世界にいる未知の私であった。
夢野久作ドグラ・マグラ」(1935)
こうして私が数時間前から座っているのに、どうもまだこの部屋は空虚のようだ。
堀辰雄風立ちぬ」(1938)
えらい駆け落ちをしてしまったという悔いが一瞬あった。
織田作之助夫婦善哉」(1940)
母は私にも別れの言葉もいうひまもなかったのか、それきり私は会えなかった。
室生犀星幼年時代」(1919)
「あんなものを熱心に見物する女はみんな間違っている」
夏目漱石三四郎」(1908)
自分で自分の馬鹿を承知しているほど尊く見えることはない。
夏目漱石吾輩は猫である」(1905)
そうとは言っても露骨に反感を見せたり、軽蔑的な態度をとったりすることのないのを源氏はうれしく思った。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(09 葵)」(1914)
あの人は棺に入らないで回転窯の中へ入ってしまいましたわ。
葉山嘉樹セメント樽の中の手紙」(1926)
前にはあのようにあからさまには笑わなかった。
芥川龍之介」(1916)
安寿恋しや、ほうやれほ。厨子王恋しや、ほうやれほ。
森鷗外高瀬舟」(1916)
私は私自身さえ信用していないのです。
夏目漱石こころ」(1914)