言葉を世間の読者に寄せる。君たちもたいてい蟹なんですよ。
芥川龍之介猿蟹合戦」(1923)
願わくはこれを語って平地人を戦慄させてほしい。
柳田国男遠野物語」(1910)
男には、不幸だけがあるんです。いつも恐怖と、戦ってばかりいるのです。
太宰治ヴィヨンの妻」(1947)
「さ、これでいいか」と、男のような口調で言いました。
谷崎潤一郎痴人の愛」(1924)
つまり、あたまが悪いと同時にあたまがよくなくてはならないのである。
寺田寅彦科学者とあたま」(1933)
しかし私の心のどこかに、彼を憎む気持ちが今日までもずっと残っているのです。
森鷗外舞姫」(1890)
希望はあらず、さてはまた、懺悔もあらず。
中原中也山羊の歌」(1934)
人をばかにしていやがる、こんな所に我慢が出来るものかと思ったが仕方がない。
夏目漱石坊っちゃん」(1906)
何人男を代えてもつづまるところ、たった一人の男を求めているに過ぎないのだね。
岡本かの子老妓抄」(1938)
それから、また元のところに帰って、こっくりこっくり眠り始めました。
新美南吉飴だま」(1943)
ただそこに、晴々した精進の心があるばかりであった。
菊池寛恩讐の彼方に」(1919)