底のきれいでない水に映る月は曇らないはずはないのだからね
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(26 常夏)」(1914)
真っ白い手の平に紫色の葡萄の粒が重なって乗っていたその美しさを僕は今でもはっきりと思い出すことができます。
有島武郎小さき者へ」(1918)
私の言ったとおりじゃないか。どうしてあんな見る影もない人を源氏の君が奥様の一人だとお思いになるものかね
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(15 蓬生)」(1914)
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
江戸川乱歩黒蜥蜴」(1934)
自分が主殺しの大罪を犯したことに気がついて、後悔と恐怖とのために、そこにへたばってしまった。
菊池寛恩讐の彼方に」(1919)
武蔵野の美といった、美というよりむしろ詩趣といいたい、そのほうが適切と思われる。
国木田独歩武蔵野」(1898)
母ちゃん、目に何か刺さった。抜いて、早く早く
新美南吉手袋を買いに」(1943)
一夜のうちに姉の姿は消えて、そこに一本の柳となっていたのです。
小川未明赤い船」(1922)
この世界に、論理の通らない世界のあること。
中井正一美学入門」(1941)
男は化粧した女のような白い顔をしているものではないのに、若い玉鬘の心はそれを軽蔑した。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(29 行幸)」(1914)
友がみなわれよりえらく見ゆる日よ花を買ひ来て妻としたしむ
石川啄木一握の砂」(1910)
真の懐疑家はソフィストではなくてソクラテスであった。
三木清人生論ノート」(1941)
昨日の正しさが今日の誤りになる、そういう瞬間瞬間の感覚を、ペンで写して誰に見せるのか。
森鷗外舞姫」(1890)
万というからには何事でも、口入れをするのが本当です。
芥川龍之介仙人」(1922)