ピストルはおもちゃだったのです。さいぜんから、おもちゃのピストルにおびえて、人を呼ぶこともできなかったのです。
江戸川乱歩怪人二十面相
背景解説
怪盗二十面相に脅されて大人しく従ってた壮太郎氏が、実はおもちゃのピストルに怯えてただけだったという、超うける展開。つまり、本当は反撃できたのに自分で自分を縛ってたってわけですよ。これってめっちゃ現代的というか、無意識の恐怖がどれだけ人を支配するかってテーマが刺さります。
では、二十面相は最初からこの恐怖心を見抜いてたんでしょうか?それとも…
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怪人二十面相』の他のひとふみ
いや、賊自身でも、ほんとうの顔をわすれてしまっているのかもしれません。
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血がきらいなのです。
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徒手空拳(としゅくうけん)、南洋の島へおしわたって、今日(こんにち)の成功をおさめたほどの快男児ですから、この人さえ帰ってくれたら、家内のものは、どんなに心じょうぶだかしれません。
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ただもう、無性(むしょう)にわなをしかけてみたくなったのです。
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あいつは、その時とばあいによって、どんな手段でも考えだす知恵を持っているのです。
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でも、それは箱です。
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ハハハ……、二十面相は童話の中の魔法使いです。だれにでもできないことを、実行してみせるのです。
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まさかそんなことがと、松野は、自分の想像を信じる気になれないのです。でも、このたしかなしょうこをどうしましょう。命のない竹ぎれが、呼吸をするはずはないではありませんか。
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松野はそのとき、みんなを呼べばよかったのです。でも、彼は手がらをひとりじめにしたかったのでしょう。他人の力を借りないで、そのうたがいをはらしてみようと思いました。
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ちくしょうめ、やられたんです。あいつにやられたんです。
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それから、池の岸で、どんなことがおこったかは、しばらく読者諸君のご想像にまかせます。
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壮二君は今、拙宅のつめたい地下室にとじこめられて、暗やみの中でシクシク泣いております。
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ぼくは損害を賠償してもらう権利があります。そのためにご子息壮二君を人質としてつれてかえりました。
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