私はそういうものを身近に見て、素直に死にたいと思う。
岡本かの子老妓抄」(1938)
「もうからかうのはいい加減にしてくれ!何でもお前の言うことは聞く!」
谷崎潤一郎痴人の愛」(1924)
ただ生死の別れだけが私たちを引き離すものだと思います。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(23 初音)」(1914)
媚態とは、一元的の自己が自己に対して異性を措定し、自己と異性との間に可能的関係を構成する二元的態度である。
九鬼周造「いき」の構造」(1930)
私だって昔は浅草の父の屋台で、客あしらいは決して下手ではなかったのだから。
太宰治ヴィヨンの妻」(1947)
母ちゃん、目に何か刺さった。抜いて、早く早く
新美南吉手袋を買いに」(1943)
ああ、そのときのお前の顔色の、そしてその唇の色までも、なんと蒼ざめていたことったら!
堀辰雄風立ちぬ」(1938)
私は、今夜、殺される。殺されるために走るのだ。
太宰治走れメロス」(1940)
一軒の山家の前へ来たのには、さまで難儀は感じなかった。
泉鏡花高野聖」(1900)
内供はなまじっか鼻が短くなったのが、かえって恨めしくなった。
芥川龍之介」(1916)
およそ人間が滅びるのは、地球の薄皮が破れて空から火が降るのでもなければ
泉鏡花高野聖」(1900)
道徳の根本概念は我と物でなく、我と汝である。
三木清哲学入門」(1940)
俺がある『刹那』に『まあ、待て、お前は実に美しいから』と言ったら、君は俺を縛り上げてくれても良い。
ゲーテファウスト」(1808)
西洋料理を、来た人に食べさせるのではなくて、来た人を西洋料理にして、食べてやる家ということなんだ。
宮沢賢治注文の多い料理店」(1924)