結局のところ人間の享楽の器は、実に狭いものではないか。実に早く涙であふれるではないか。
岡倉天心茶の本」(1906)
もし速度が光速度に達するならば、物体は一平面に押しつぶされてしまいます。
アインシュタイン相対性理論」(1916)
彼女は真昼の寂しさ以外、何も意識していない。
岡本かの子老妓抄」(1938)
努力は功の有無によって、これを敢えてすべきか否かを判断すべきものではない。
幸田露伴努力論」(1912)
汚れつちまった悲しみに今日も小雪の降りかかる
中原中也山羊の歌」(1934)
俺は総領で家督をしているが、どうかして難しい家の養子になってみたい。
福沢諭吉福翁自伝」(1899)
短い人生もああした人といっしょにいれば長生きができるだろう。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(28 野分)」(1914)
足あり、仁王の足の如し。足あり、他人の足の如し。
正岡子規病床六尺」(1902)
鹿の黄色な横っ腹なんぞに、二三発お見舞いしたら、ずいぶん痛快だろうねえ。
宮沢賢治注文の多い料理店」(1924)
私は、できることなら京都から逃げ出して誰一人知らないような街へ行ってしまいたかった。
梶井基次郎檸檬」(1925)
人と接触をせずに奥に引き入ってばかりいることも、気高いようであまり感じのいいものではない。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(26 常夏)」(1914)
「厨子王」という叫びが女の口から出た。二人はぴったり抱き合った。
森鷗外高瀬舟」(1916)
笑ってくれ。詩人になりそこなって虎になった哀れな男を。
中島敦山月記」(1942)
「もうからかうのはいい加減にしてくれ!何でもお前の言うことは聞く!」
谷崎潤一郎痴人の愛」(1924)