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隣の広間の床に据(す)えてある置時計が次の刻(とき)を打つまでには、きっと悟って見せる。悟った上で、今夜また入室(にゅうしつ)する。そうして和尚の首と悟りと引替(ひきかえ)にしてやる。
夏目漱石「夢十夜」(1908)
決意
侮辱を受けた直後、絶望的な状況で覚悟を決めるとき
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外には、ただ、 黒洞々たる夜が あるばかりである。
芥川龍之介「羅生門」(1915)
虚無
すべてが終わったあとに
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お茶がおいしいときにも、 きっとお父さんを思い出す
太宰治「女生徒」(1939)
切なさ
大切な人を思い出すとき
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へつらうまい驕るまいと気を使うのは、まだ君の心のどこかに、へつらう心や驕る心が残っているからではあるまいかの。
下村湖人「論語物語」(1938)
衝撃
自分の謙虚さに自信を持っていたとき
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いっさいの事は人間の掌中にあるんだが、ただただ臆病のために万事鼻っ先を素通りさせてしまうんだ
ドストエフスキー「罪と罰」(0)
決意と自己嫌悪
自分の弱さに気づき、行動することの大切さを痛感したとき
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駄目よ、譲治さんは!そんな気の弱いことを云っているから駄目なのよ。ダンスなんて云うものは、稽古ばかりじゃいくらやったって上手になりッこありゃしないわよ。人中へ出てずうずうしく踊っているうちに巧くなるものよ
谷崎潤一郎「痴人の愛」(1924)
決意
失敗を恐れて一歩を踏み出せない者に背中を押してほしいとき
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私はこの子を銭湯に連れて行きはだかにして抱き上げて、あんまり小さく醜く痩せているので、凄しくなって、おおぜいの人の前で泣いてしまった事さえございました。
太宰治「ヴィヨンの妻」(1947)
悲しみ、絶望
貧困と育児放棄に苦しむとき
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自分には、人間の生活というものが、 見当つかないのです。
太宰治「人間失格」(1948)
孤独
周りに馴染めないと感じるとき
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皆、畜生! ッて気でいる
小林多喜二「蟹工船」(1929)
怒り
不当な扱いに対して、仲間と一緒に立ち上がりたいとき
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もう隠すまい。 隠すことに疲れた。 自分は自分であるより 他にないのだ。
島崎藤村「破戒」(1906)
覚悟
もう嘘をつけないと決めたとき
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庄太郎は必死の勇をふるって、豚の鼻頭を七日(なのか)六晩(むばん)叩(たた)いた。けれども、とうとう精根が尽きて、手が蒟蒻(こんにゃく)のように弱って、しまいに豚に舐(な)められてしまった。
夏目漱石「夢十夜」(1908)
絶望, 無力感
必死に戦い続けても報われないことに気づいたとき
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おのれに存する偉大なるものの小を感ずることのできない人は、他人に存する小なるものの偉大を見のがしがちである。
岡倉天心「茶の本」(1906)
ハッとする
他人を見下してしまいそうなとき
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すべてが退屈で、下等で、 退屈で仕方がなかった。
芥川龍之介「蜜柑」(1919)
孤独
世の中のすべてがつまらなく感じるとき
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落葉の音と自分の足音とのほかには何の音もなく、 非常な静かさが四辺を領していた。
国木田独歩「武蔵野」(1898)
静寂
一人で静かな場所を歩いているとき
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冬になって見ると、どれがほんとうの常磐樹だかわかる。ふだんは、どの木も一様に青い色をしているが。
下村湖人「論語物語」(1938)
覚悟
困難な状況で人の本性が見えたとき
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この夕日の中に佇んでいる、お前の姿が眼に止ったから、何か力になってやりたいと思ったのだ。
芥川龍之介「杜子春」(1920)
優しさ、希望
誰かが自分を見てくれていたと気づくとき
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哲学は現実に就いて考えるのでなく、現実の中から考えるのである。
三木清「哲学入門」(1940)
目が覚める
頭でっかちになっているとき
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壮二君は今、拙宅のつめたい地下室にとじこめられて、暗やみの中でシクシク泣いております。
江戸川乱歩「怪人二十面相」(1936)
恐怖, 悲しみ
大切な人が危険に晒されたことを知ったとき
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それが鼻だったら、どのくらい自分は心細くなくなるだろうと思った。
芥川龍之介「鼻」(1916)
切なさ
自分のコンプレックスに向き合っているとき
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僕はね、キザのようですけど、死にたくて、仕様が無いんです。生れた時から、死ぬ事ばかり考えていたんだ。
太宰治「ヴィヨンの妻」(1947)
絶望, 虚無
人生の価値を問い直したいとき、深い苦悩を抱えているとき
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