真白い手のひらに紫色の葡萄の粒が重なってのっていたその美しさを僕は今でもはっきりと思い出すことができます。
有島武郎一房の葡萄」(1920)
この世でこんなに人を喜ばせることのできる源氏は前世ですばらしい善業があったのであろう。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(07 紅葉賀)」(1914)
ことに太ったお方や若いお方は、大歓迎いたします
宮沢賢治山越え」(1921)
自分の体もまた一つの大自然であり、山あり川あり、無限の喜びと悲しみを持っている大きな天地ではないだろうか。
中井正一美学入門」(1941)
こんな月夜には、子供たちは何か夢みたいなことを考えがちでした。
新美南吉」(1943)
この山を旅する方は皆、大風のような音をどこかで聞きます。
泉鏡花高野聖」(1900)
およそ人間が滅びるのは、地球の薄皮が破れて空から火が降るのでもなければ
泉鏡花高野聖」(1900)
おれが行かず。お前様の代わりにおれが行かず
島崎藤村破戒」(1906)
今に自分も、あの煙突から煙になって出るのだ。
小泉節子思い出の記」(1908)
生きているということ。ああ、それは、何というやりきれない息も絶え絶えの大事業だろうか。
太宰治斜陽」(1947)
そんな醜い容貌を持ちながら、胸の中では、人知れず、世にも激しい情熱を、燃やしていたのでございます。
江戸川乱歩人間椅子」(1925)