これがおばあさまか、これがお父さんか、お母さんかと驚くほどにみんな変わっていた。
有島武郎生れ出づる悩み」(1918)
あなたが生んだという賢一郎は二十年も前に築港で死んでいる。
菊池寛父帰る」(1917)
私はもうこの世にはいないでしょう。とっくに死んでいるでしょう。
夏目漱石こころ」(1914)
およそ人間が滅びるのは、地球の薄皮が破れて空から火が降るのでもなければ
泉鏡花高野聖」(1900)
回という人間は決して馬鹿ではないのだ。
下村湖人現代訳論語」(1949)
腕のある人が、正しい道を踏んで富を積むのが、何で悪かろう。
下村湖人論語物語」(1938)
自分は可憐な人を発見することができた。そこで意外な収穫を得るのだ。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(05 若紫)」(1914)
私は黙って俯向うつむいていた。何を言っても駄目だ。何も言うまいと心で誓った。
室生犀星幼年時代」(1919)
私は生まれて五十年、人の金を一銭でも借りたことはない
福沢諭吉福翁自伝」(1899)
音楽にこんなに心を奪われていても、彼は動物なのだろうか。
フランツ・カフカ変身」(0)
愚か者と見える。名はわしがつけてやる。姉は病気を垣衣、弟は忘れ草を萱草だ。
森鷗外高瀬舟」(1916)
一円九十銭の日当の中から、日に、五十銭の米を二升食われて、九十銭で着たり、住んだり、べらぼうめ!
葉山嘉樹セメント樽の中の手紙」(1926)
私は自分が日記をつけていることを夫に感づかれるようなヘマはやらない。
谷崎潤一郎」(1956)
愛されたい願いが善い願いならば事実として愛されなくとも、死ぬまで依然として愛されたいと願うべきである。
倉田百三愛と認識との出発」(1921)