それよりむしろ、自分で鼻を気にしていると云う事を、人に知られるのが嫌だったからである。
芥川龍之介」(1916)
孤独, 不安弱みを見せることが怖いとき
永遠は現在の一瞬にある。刻下に道に生きる心こそ、生死を乗りこえて永遠に生きる心なのだ。
下村湖人論語物語」(1938)
悟り将来の不安に押しつぶされそうなとき
こら、罪人ども。この蜘蛛の糸は己(おれ)のものだぞ。
芥川龍之介蜘蛛の糸」(1918)
怒り、独占欲自分の利益を守りたい一心に、他者を突き放すとき
私はこの時始めて、 云いようのない疲労と倦怠とを そうして又不可解な、下等な、 退屈な人生を僅かに忘れる事が出来たのである。
芥川龍之介蜜柑」(1919)
希望小さなことで救われたとき
けれども自分が眺めている間、金魚売はちっとも動かなかった。
夏目漱石夢十夜」(1908)
孤独、無常感、観察者としての距離感世界との断絶を感じたとき
怒るとは何だ。赤ん坊が夜泣きするので あなたのセロを聞かせるんです。
宮沢賢治セロ弾きのゴーシュ」(1934)
驚き自分の才能に気づいていないとき
そうだ、一度にひと身上いるんだ
ドストエフスキー罪と罰」(0)
怒りわずかな報酬では満足できず、人生を大きく変えたいという切迫した願いを抱いているとき
けれども、かつて銭(ぜに)を出して水菓子を買った事がない。ただでは無論食わない。色ばかり賞(ほ)めている。
夏目漱石夢十夜」(1908)
諷刺, 違和感, 人間性への問い現実とのギャップに気づき、人間の矛盾した本質を見つめたいとき
母さんの言ったことは嘘だな。人間はちっとも恐かないや。
新美南吉手袋を買いに」(1943)
安心、発見怖いと思っていたものが実は怖くなかったとき
弓というものがどんな物であったか、それも思い出せぬ。
中島敦名人伝」(1942)
衝撃、悟り何かに執着しすぎている自分に気づいたとき
しかし君は描かずにはいられなかった。 描くことが君の呼吸であった。
有島武郎生れ出づる悩み」(1918)
情熱どうしてもやめられないことがあるとき
ああ飛んでもない! 己はほんとに大変な女を逃がしてしまった
谷崎潤一郎痴人の愛」(1924)
後悔と絶望失ってから初めてその大切さに気づいたとき
愚民の上に苛き政府あれば、良民の上には良き政府あるの理なり。
福沢諭吉学問のすすめ」(1872)
責任感、緊張感自分たちの行動が社会を形作ることに気づくとき
どこへ行くんだか判らない船でも、やっぱり乗っている方がよかったと始めて悟りながら、しかもその悟りを利用する事ができずに、無限の後悔と恐怖とを抱(いだ)いて黒い波の方へ静かに落ちて行った。
夏目漱石夢十夜」(1908)
後悔、絶望、切なさ重大な決断をしてから後悔したとき、手遅れだと気づいたとき
もう帰んな。 おれたちは今日はこっちに泊まるんだから。
芥川龍之介トロッコ」(1922)
恐怖突然一人にされたとき
北海道では、字義通り、どの鉄道の枕木もそれはそのまま一本々々労働者の青むくれた「死骸」だった。
小林多喜二蟹工船」(1929)
怒り, 絶望労働搾取の現実を目の当たりにしたとき
やっぱり、日本人は、同じ日本人に対してでなければ、本当の恋を感じることが出来ないのではあるまいか。
江戸川乱歩人間椅子」(1925)
切なさ、渇望異国人との関係に精神的な満たされなさを感じているとき
これも小さいながら、命のあるものに違いない。その命を無暗(むやみ)にとると云う事は、いくら何でも可哀そうだ。
芥川龍之介蜘蛛の糸」(1918)
良心、優しさ、葛藤自分の中に善性があるか疑わしいとき、小さなことの価値を認めたいとき
問題の大小をも弁(わきま)えず、その力を用いるところ当(とう)を失えりという人あらば如何(いかん)。
柳田国男遠野物語」(1910)
孤独自分の未熟さを自覚しているのに行動せざるを得ないとき
もうお別れになるかも知れません。随分ご機嫌よう
夏目漱石坊っちゃん」(1906)
切なさ、別離の悲しみ大切な人との永遠の別れを覚悟したとき